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ロタは街を歩きました。
行き交う人はみな、「ありがとう」と、声をかけてきます。
ロタはとりあえず、「おはよう」と、あいさつを返すことにしました。
人々は、はっとした表情をするものの、すぐに笑顔であいさつを返してくれます。
彼にはとくに、するべき用事がありませんでした。
仕事もしていません。
お金のたくわえは十分にあるので、あくせく働かなくてもいいのです。
困っている人を見かければ、手を貸しました。
悩んでいる人がいれば、相談に乗りました。
そうしなければいけない、という訳ではありません。
ロタは自分からすすんで、手助けをしているのです。
もっとも、見て見ぬふりをするのは難しいかもしれません。
彼が声をかけるより先に、相手から「ありがとう」と言われてしまうのですから。
それでもロタは、日々の暮らしに満足していました。
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