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電車のドアが開く。そこそこ乗客の乗った電車の中から降りる者はいなかったが、ホームからぞろぞろと電車の中に人が入り込んでいく。その中に大石さんの姿があった。
「大石さん乗るんですか?」
「そうね……最初はそうする気はなかったけど、ここに来たら夫や子供のことを思い出してね。せっかくだから、1人で乗ってみようかと思ったのよ。それじゃ、航太君。またいつか会いましょう」
そういい残して大石さんは電車の中に乗り込んでいった。
電車は全ての乗客を乗せ終えると、どこかへと走り去る。その後ろ姿を残った人達と共に眺めた。
おそらくこれがこの駅で見れる最後の電車の後ろ姿だろう。さて、そろそろ準備するか……
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