ワイバーン襲来

4/4
前へ
/1799ページ
次へ
 岩山を消したが、ジェネラル・ワイバーンは倒れこんだままで苦しそうなのは変わりない。と、あれこれと考えていると、ジェネラル・ワイバーンはみるみる小さくなったいった。と、いうかまさかの人型になったのだ。185cm程の身長に、赤い髪の美丈夫な顔立ちをした好青年に変身するとは驚き。 「え――どういうこと?」 「話をする前に回復薬(ポーション)などを持ってきてくれぬか? ダメージが大きすぎて立つことすらできん。大丈夫だ。襲うことなどしない。ワイバーンは人を食べない魔物だ」 「本当だろうな?」 「大丈夫だ強き者よ。我等は洗脳されていた故、村を襲った。それに、同胞がうぬ等に倒されたのも、仕方がないことだと思っておる。復讐の機会を伺うようなことはせん。むしろ、村に先制攻撃を仕掛け、甚大な被害と犠牲者を出し、恐怖に陥れてしまったことは、非常に申し訳ないと思っておる。村人の皆に謝罪をさせてほしいのだ」  まあ、営業経験からすると胡散臭さは無いし、先に復讐というワードが出てきたのも信憑性が高い。普通ならそこまで言わないもんな。疑われる可能性がある事柄を全て潰してきているし――。 「わかった。村まで運んでやる」 「かたじけない」 「担架で運ぶぞ」 「は~い」  車輪付きの担架を出して、二人でジェネラル・ワイバーンを載せる。この身長で筋肉質なんだろう。推定体重75kg以上を二人で持つのはキツ過ぎる。乗せた後は二人で押して村に向かう。 「本当に申し訳ない。特に女子(おなご)には負担をかけたと思う」 「本当ですよ。それより目は大丈夫ですか?」 「血は止まっておるが相変わらず見えん」 「悪かったな。そいや、名前はランベリオンでいいのか?」 「よい。我はなんと呼べばよい?」 「俺はナリユキ・タテワキだ。ナリユキでいいぞ」 「ナリユキ殿と呼ぼう」 「私はミク・アサギ。ミクでいいですよ」 「ミク殿か。宜しく頼む。で、名前で気になったのだが、二人は転生者か?」 「何で名乗っただけで分かるんだよ。てか、この世界では転生者はレアではないのか? もしかして」 「転生者の知り合いがおってな。そのような特徴的な名前だった。まあ分かる人には分かるみたいな感じだ」 「特徴的なんだ」 「てっきりお互いしか分からないと思っていた――」 「我は1000年程生きておるからの」  おい、今絶対ほくそ笑んだだろ。
/1799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2462人が本棚に入れています
本棚に追加