ランベリオンって実は凄い

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ランベリオンって実は凄い

「ナリユキ様、ミク様お待ちしておりました。ジェネラル・ワイバーンの撃退感謝いたします」  この村長毎回出迎えてくれな。驚きなんだけど。ん? まあ物腰が柔らかいのか、何か企んでいるのか。 「建物は大方鎮火できたようですね。負傷者はどうでしょうか?」 「ナリユキ様の不思議なアイテムのお陰で、残り三軒で終わります。負傷者の治療も残り数人となっております。で、そちらの方は?」 「落ち着いて聞いてください。この負傷者はジェネラル・ワイバーンです」 「なんと!? 噂は本当だったですね。人型に変身できると聞いたことがあります」 「そうでしたか。実を言うと、ジェネラル・ワイバーンは、操られていたらしいのです。彼は甚大な被害をもたらしてしまったので村人に謝罪をしたいと申しております。ですので、私が傷つけた、彼を治してやってほしいのです」 「襲っておいておこがましいが宜しく頼む。回復してくれた後、謝罪と経緯を説明したい」 「ナリユキ様、本当に宜しいのでしょうか?」 「勿論です。もしなんかあったときは確実に殺す。安心してください」 「ナリユキ殿、遠慮ないな」  ランベリオンは少し苦笑いしているがそらそうだ。俺はやるときはやる。 「とりあえず、運びましょう」  ミクちゃんの掛け声で俺達は足を動かした。村長はミクちゃんに変わろうと言っていたが、村長の年齢も考えてか、何かあったら困るので、担架を押しの交代を拒んでいた。少し残念そうだったのが面白い。  噴水の広場に行くとよく分かるのだが、鎮火していて煙が所々上がっている。ただ、家はやはりボロボロになっているので、俺が家を提供する必要がある。なんでそんなことをするかって? 農作物を俺とミクちゃんに分けて与えてもらうからに決まっているじゃないか。無料でするボランティア活動なんて、生産性の悪いことはしない。てか家を一瞬で建て、一日あれば村の家全てを建てることできるんだから、俺が貰おうとしている恩恵なんて小さいと思うのだが。 「村長、負傷者は全員治療致しました」 「この方も治療してやってくれ」 「はい」  目の前で、一人の村人がランベリオンに手を向け、両手から淡い緑の光で回復(ヒール)を行っている。いや、普通に凄いよな。俺が言うのも何だが、あんな巨大な岩山に押し潰されてボロボロになっていた体がみるみる回復している。スナイパーライフルで潰した両目も回復している。え、マジで凄いな、医者いらないじゃん。あっちの世界だったら医者は無くならない職業って言っていたのに、ここの世界じゃその職業を潰している。 「できました」 「うむ。助かった」  ランベリオンはムクリと起き俺の方を見てきた。 「あの手から何でも出せるスキルは何だ? それに我の両目を潰した武器はなんだ?」  なんか、めちゃくちゃ食いついてくるなこのワイバーン。元々黄色の目をしているのに、少年のような輝きを瞳に宿らせるなよ――。 「目がうるさい。あとで説明するから、早く謝罪してこい」 「め、目がうるさい? そんなの初めて言われた――」 「謝罪とはどういうことでしょうか? 確かに村では見かけない顔ですが」 「この人はジェネラル・ワイバーンですよ」  ミクちゃんの言葉に固まる村人。けれどもそんなに固まらなくていいじゃん。メデューサにでも睨まれたの? って思ったが、よくよく考えたらこの世界ならメデューサいそうだな。 「事情はランベリオンをしか知らないので、私達も含めて説明してもらいます」 「ランベリオンとは誰でしょうか? あまり聞きたくないのですが、この人型化(ヒューマノイド)になっているジェネラル・ワイバーンの事でしょうか?」 「そうだ。我の事だが?」 「え、大丈夫ですか?」  村人が泡を吹いて倒れたので思わず吃驚した。
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