ワクワクの始まり

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「ナリユキさんはどんな国にしようと思っているんですか?」 「まあ、シンプルに多種多様な人物や魔物が共存できる国だな。あとは、皆が住みやすく幸福度の高い国だな。スラムみたいなところは絶対に作らん。だからミクちゃんも手伝ってくれ」 「勿論」  そう返事して少し時間が空いた頃、窓が開いているため、一人の村人が呼び掛けてきた。危機を何とか回避――というよりも、村人が集まって私とナリユキさんを祝ってくれるらしい。大変嬉しいけれど、本当にいいのかな? 食料もいくつか焼かれて栽培をし直さないといけなくなったのに。  それでも、断っても村人達は引かないだろう。しばらくここで滞在して思ったことだけど、ここの人達は変に頑固だ。いや、忠を尽くしたいという気持ちが全面に出ている。それだけ生きることに必死なんだ。私なんか失恋したときに泣きじゃくって、引きずりまくって、全てが嫌になって死にたくなる面倒くさい女なのに――。本当に、皆のことは心から尊敬できる。  それでも今は楽しいと言える。恋愛の動画を出しながら、皆はどんな恋愛をしているのかを聞いて、少しずつ失恋を吐き出していたのが嘘みたいだ。これからが楽しみだ。これだけ明日を楽しみにできるのはいつぶりだろう? 「ミクちゃん行くぞ」 「はい」
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