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一度目の朝
酔った。シチューやチキン、ポテトサラダと馴染み深い料理から、食べたこと無い料理も出てきた。そして楽しすぎてお酒弱いのにいっぱい飲んじゃった。でもいいのです。男の人におんぶされながら、家に帰るなんて久々だから一石二鳥です。
「ミクちゃん大丈夫か? まあ大学生らしい飲み方と言えば飲み方だけど」
「大丈夫れす――」
駄目だ。全然舌が回らない。そして、フワフワするしあっつい。
「全然大丈夫じゃないじゃん。ほら着いたぞ。もう少しでベッドに行くから」
気が付いたらもう宿に着いていた。ナリユキさんも、何気にワインやらビールやらで結構飲んでいたのに何でこんな平気なんだろ? 強いな~。
「ナリユキさんは、酔い回っていないんですか?」
「そりゃ酔っているけど、お酒抜けてきたわな」
「そうですか、強いの羨ましいです」
「少し弱い女の子のほうが可愛いじゃないか? まああくまで俺の意見だけど」
「えへへ――可愛いって言われちゃいましたね。罪ですね~」
「でも、ミクちゃんはお酒を飲み過ぎだな。よし――」
「ふぇ!? ちょっと恥ずかしいじゃないですか」
「童貞でも女の子は丁重に扱わないといけないことは知っているし、ミクちゃんがヘロヘロで仕方ないんだから我慢してくれ」
無理――。一旦おんぶから離れたと思ったら、お姫様抱っこってどんだけよ。恥ずかしくて死んじゃう――。それにベッドに下ろしてくれた時もめちゃくちゃ優しいし。え、何これ? 何プレイ?
「さてはナリユキさん。女たらしですね?」
「違うわ。隠していても意味が無いから言うから俺は童貞なんだわ」
「え!? それにしても慣れ過ぎでは!?」
「ちょっと元気になってきたな。妹がいたからな。ただ、童貞は童貞だ。つか、恥ずかしいこと何度も言わせるな。しっかり水飲んで二日酔いならないよう、明日に備えろよ? おやすみ」
「は~い」
ナリユキさんはそう言って電気を消して部屋を出ていった。ふむふむ。童貞とは思えない自然な素振りだった――まさかすぎる。あ、最近の童貞はあんな感じで自然な接し方をできるのかな? 駄目だ、何かもう色々考えていたらえっちな気分になってきた。大人しく寝よう――。
◆
「ん……」
外が明るくなっていたので思わず目が覚めた。久々にスッキリした朝を迎えた気がする。頭も痛くないしどうやらちゃんとお酒も抜けたみたいだ――。それにしてもお風呂に入らずにそのまま寝た事の背徳感が凄い。シャワー浴びないと。
昨日着ていた同じ服と下着を用意して浴室に向かった。実は、まだ入ってなかったからもの凄く楽しみだ。寝室であのクオリティならお風呂も――。
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