一度目の朝 

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「へ?」 「え?」  凄くちょうどいいタイミングでナリユキさんが出てきた。何このベタな展開。――それに意外といい筋肉しているし――。 「お――おはようございます――」 「お、おはよう――とりあえずお風呂入れよ。俺はもう上がったし。あと、今の見なかったことにするから」 「は、はい。私も見なかったことにします」  で、とりあえず心を落ち着けて、入れ替えで湯船に浸かれたけど、会って二日目で、互いの全裸を見ることになるとは思わなかった。そして、忘れるって言ったけど多分無理だ。私が好きな筋肉の付き方をしていた――細くも無いし、筋肉がつき過ぎている訳でもない――まさに私好み――。それにアソコ大きかったし――。 「はあ――駄目だ。色々狂ってくる」  お風呂を楽しみにしていたのに、観察する気力も無いくらいナリユキさんとのラブコメみたいな展開が忘れられない。まあ、お風呂を一言でまとめると、大理石のお洒落なお風呂。浴槽も大人三人くらいは入ることができる伸び伸びとできる広さだ。 「こんな調子じゃ、私の身が持たないな。色々と――あ、ベッドで一緒に寝たら何が起きても動じない精神力がつくのでは? いや、そうだと私がヤバい人認定される。うん、確かに天然で貞操観念がヤバいのは否定しないけど。友達には計算していての行動じゃなくて天然でそれをしているから、男の子を勘違いさせるってこぴっどく怒られたし。なんだかな」  そこから私は湯船から一旦上がり、シャワーを浴びた。ここはナリユキさんが造ったお風呂。だから椅子があるのは何故か親近感が湧く。というか、この家に置いている物とか全てがナリユキさんの趣味だと思うと凄く楽しい。シャンプーやリンスは二つずつある。でも童貞なのに、女性用のシャンプーやリンス、ボディソープなんて分かるだろうか? 否、だとしたらこの透明の容器に入ったシャンプーとコンディショナーは間違いなく妹さんが使っていたものだね。そう考えていると色々と楽しい。 「ふう――」  シャワーを浴びてスッキリしたところで、鏡の前でドライヤーを使って髪を乾かしていく。この世界には無いはずの電化製品がちょくちょく出てくるの本当に面白い。普通なら風のスキルとかで乾かしていくんだけど。こうなってくるとこういった魔法みたいな力も便利だけど、死ぬ前にいた世界の電化製品やその他諸々のアイテムはやっぱり便利だったんだなって思う。
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