ワイバーンの棲み処

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ワイバーンの棲み処

 来たのはいいが、流石に寒かった。なんで、今はコートを着て俺とミクちゃんは寒さを凌いでいる。どうやら、ランベリオンの仲間達は一つの箇所に集まっているらしい。標高3,000m地点に彼等の居場所がある。そして、近くにはなんと鉱山があるとのこと。これは色々と期待できそうだ。  辺りはワイバーンばかりが飛んでいる。まあ、ランベリオンがいるから襲って来ないの分かっているが、ミクちゃんは少し不安そうで、俺の服をきゅっと掴んでいる。なんだこれ、可愛すぎにも程があるだろ。これはあれだ。きゅんです。  しばらく歩いていると、空を飛んでいたワイバーンも、寝ていたであろうワイバーンも、一気に固まってお出迎えをしてくれた。100頭はいそうだ。そら怖いわな。 「ランベリオン様! ご無事でなによりです!」  ランベリオンより少し小さい一頭のワイバーンが、そう言って頭を下げると他のワイバーンも頭を下げた。 「楽にせい」  その言葉でワイバーン達は頭を上げて、ランベリオンの方を見ている。なんかワイバーンの視線がこっちに集中しているからちょっと怖いんだけど。 「数週間前に行方が分からなくなっておりましたので、大変心配でした」 「迷惑をかけた。申し訳ない」 「滅相もございません。で、他の者は?」 「事情があって、この人間たちが滅ぼした。我も含め、洗脳されて我達は人間達を襲ってしまったのだ。なあに、悔やむことは無い。そこにいる人間のナリユキ殿とミク殿は、我を10分もかからずに倒した猛者(もさ)である。故に、同志達の魂はナリユキ殿の服に宿した」 「そうでしたか。彼等の犠牲は悔やまれますが、こちらから仕掛けた事なら仕方無いことです。寧ろ、ランベリオン様を正気に戻してくれて感謝致す」  そう言ってワイバーン達は頭を下げた。何か一気に頭を下げられると、デカいペットに見えてくる。 「さっそくだが、我の友人を紹介する。男性のほうがナリユキ殿。女性のほうがミク殿だ。彼等は建国したいと言っている。それは我がもっと人間にマーズベルの良さを知ってほしいからである。故に、彼等が住みやすいよう、できる限りの事は協力してやってくれ」 「かしこまりました」 「ランベリオン、そちらの方は?」  ランベリオンがその大きめのワイバーンを睨むと、そのワイバーンがすかさず人型化(ヒューマノイド)になった。身長は170後半くらいかな? ワイバーンの姿では分からなかったが、歳は結構いっているようだ。ランベリオンは人の見た目でいうと20代後半。俺とそれほど変わらないくらいであるが、このワイバーンは50代くらいの男性に見える。ところどころ皺がある渋くてダンディなオッサンって感じだ。白い手袋をしているので、執事的な立ち位置なのだろうか? 「私はジェネラル・ワイバーンのロドベルトと申します」  そう言って一礼をされたけど、このワイバーンもジェネラル・ワイバーンなのか! どれどれ? 名前:ロドベルト 性別:♂ 種族:竜族 飛竜(ワイバーン)種:ジェネラル・ワイバーン 称号:飛竜(ワイバーン)の王 勲章:☆ パッシブスキル:熱無効、熱変動耐性 アクティブスキル:地獄の炎弾(ヘル・フレイム)龍の咆哮(ドラゴン・ブレス)火炎放射(フレイム・バースト)灼熱の尾(バーニング・テール)人型化(ヒューマノイド) ユニークスキル:追跡者(チェイス) アルティメットスキル:火炎玉(フレイムボール) 「勲章あるし――てことはロドベルトもS級になるのかな?」 「そうだな」 「そうか。宜しくお願いします」  俺とミクちゃんが頭を下げると、ロドベルトも頭を下げてくれた。 「我は、明日この二人とカーネル王国に向かう。また、ここを空けることになるが、宜しく頼む」 「仰せのままに」 「そういや、鉱山があるんだろ?」 「ちょっと案内してくれないか?」 「いいぞ。ついてくるがよい」
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