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ランベリオンは人型化になると、ここから2kmほど離れてた鉱山を案内してくれた。この鉱山には鉱石がいっぱいあるとのことだった。人が立ち寄ることがほとんど無いこの場所から取れる資源は珍しいモノが多いらしい。入っていくと風が冷たく寒い。
「ここはマカライト鉱石やドラグライト鉱石などが採取できる。あとはルビーやサファイアといった宝石もあったりするな。オリハルコンや、金など、全般的に採取できる。だから、金属やエネルギー資源となるものはここで全て取れるはずだ。ナリユキ殿とミク殿が好きに使ってくれてよい」
「そんな凄いところ、なんで今まで誰も手をつけなかったんだ?」
「いや、つけていたんだ。それが我と仲が良かった人間だ。しかしその人間は殺されてしまったのだ」
「そうだったのか」
「しかし、うぬ等――特にナリユキ殿は我より遥かに強い。それに頭脳明晰である。故に、この鉱山を上手く活用できるのではと期待しておる。勿論、お金にもなるので、うぬ等の腕っぷしを披露してほしい」
「まあ好意はありがたいんだけどさ。何でそこまで親切にしてくれるんだ?」
「うむ。それもそうだな。洗脳を解いてくれた事に感謝しているのと、国を造りたいっていう頭のネジが飛んだ人間は初めてだったからな。行く末を見守りたいと思ったのだ。それに人間と魔物の共存をしてほしい」
「まあ、それは元からやるつもりだったけど」
「うむ。なのでそれを見てみたいのだ」
「成程ね。仲間って事でいいのか?」
「あれ? 仲間じゃなかったのか? もはや、我は友とは思っていたのだが」
そんな、単純なやりとりで腹を抱えて笑ってしまった。――そうか、これが仲間か。そうだよな、そんな意味が分からん質問、ミクちゃんもランベリオンもきょとんとするよな。
「何言っているですか、仲間じゃないですか」
「悪い悪い。仲間ってのは久々だったからもはや忘れていたわ。何なら、一人で生きていけるとすら思っていたから」
「ナリユキ殿、前の世界では苦労していたのだな」
と、ランベリオンはハンカチで涙を拭っている。おい、それどこから出してきた。
「いや、どっからハンカチ出しているんですか! てかハンカチ持つんですか!?」
ナイスなツッコミだミクちゃん。
ズ、ズーって汚いかよ。鼻をかむな。
「と、ワイバーンギャグはここまでにして」
なんだよワイバーンギャグって。寧ろワイバーンどころか昭和のギャグだわ。絶対転生者の友人に、コントとか見せてもらったことあるだろ。
「どうする? ここの鉱石いくつか持っていくか? カーネル王国に行けばより強力な武器などを造れるかもしれないぞ?」
「そうだな。一応もらっておく。武器や防具に最適な鉱石と金の在り処を教えてくれ」
「わかった。ついて来るがよい」
こうして、俺達はランベリオンに鉱山を案内してもらい、必要な資源を必要数だけ調達した。正直、いっぱい持って行っても意味が無い。俺の創造主では、服や防具、武器といったモノを造るのはクオリティに限界があるようだ。なので、質にこだわるのであれば手作りのほうが良かったりするらしい。
今日は、ここで家を建てて過ごし、明日カーネル王国にいよいよ出発だ。王都の文化がどんなものか見るのが楽しみ過ぎる。
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