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「ところで、ランベリオンさんが人間と王都に一緒に来るなんて珍しいっすね」
「だろ? 実は恥ずかしい話、この二人にコテンパンにやられて助けられたのだ」
ランベリオンがそう言って「ワハハハハ」と高笑いしているところ、二人の門番は目が点になっていた。うんまあ。S級の魔物の本人から、人間にコテンパンにされたって話を聞いたらそんなリアクションになるわな。
「カーネル王国の英雄をコテンパン?」
門番が口を揃えてそう言って、アホ面をかまし始めたので、俺とミクちゃんは思わず目を合わせた。しかも、聞き捨てならないのは、カーネル王国の英雄。そうカーネル王国の英雄。重要なので二回言った。魔物が英雄ってどゆこと?
「ランベリオン様が人間にコテンパンされるなど初耳です」
「自分、まだまだ浅いので説得力に欠けると思いますが、初耳っす」
「いや、実際に人間にコテンパンにされたの初めてだしな。我はS級の魔物だし、飛竜の王だし」
「ですよね」
二人の門番が口を揃えてそう言っているので、この二人は恐らく仲が良い関係なんだろう。俺、会社でそんな良好な関係の人いなかったんだけど。羨ましいなコノ野郎。
「まあ詳しいことはまた話す。ナリユキ殿、ミク殿」
「あいよ! 行こうぜミクちゃん」
「はい! ビータさん、ケイトさんまた今度!」
ミクちゃんが後ろを振り返りながら、そう言うとビータとケイトは手を振って見送ってくれた。俺もそれに同調して手を振り、別れを告げた。
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