モトリーナの村

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 手を何もないところに向けて、2階建ての木造の家をイメージして念じる。 「おお。凄い! 家まで作れちゃうのですね!」  ふふ――見たか。  と、思ったが。内覧をしたのだが――。 「酷いな」 「何がですか?」 「デザートイーグルは結構精巧だったのに、窓があんまり無いし、風呂場も無い」 「確かにそうですね。デザートイーグルは普段から見慣れていたから出てきたんじゃないですか? まあ銃ってざっくりしたイメージでデザートイーグルが出てくるのも謎ですが。普通ならマグナムとかベレッタとかのような気がします」 「それは俺がChampion War(チャンピオン・ウォー)で、サブウエポンをデザートイーグルにしていたからかもしれない」 「なるほど。ではもっと具体的なイメージをしましょう」 「でも、その前にやりたいことがある」 「やりたいこと?」 「まあ見てて」  と、俺が念じたのはテレビやスマートフォン、トイレなどだった。 「凄い! でもこれどういう実験ですか?」 「作り出した物体の中で、さらに物体を増やせるかの実験さ。それでいらなくなったら」 「おお――凄いですよこのスキル!」  いとも簡単に、トイレという割と広いスペース出せるのは相変わらず凄いが、テレビやスマートフォンなどの電化製品まで出せるとは思わなかったな。  それにしてもクオリティは酷いものだ。まるで日曜日に放送している、ほのぼの家族の某国民アニメのEDに出てくる家のようだ。デザートイーグルはもっと精巧だったなのに――。 「単純な疑問なんだけど、水とかも出せるのか?」 「出せるんじゃないですか? どうしてです?」 「みりんや料理酒は出せなかったんだよな~」 「もしかして形があるものはできるんですかね? 家とか家具とか。それだと水も出なさそうですね」 「まあやってみるさ」
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