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と、唐突に、わたしのおなかから蛙の鳴き声のような音がした。思い返してみれば、今日は朝食以外口にしていない。無事学校に辿り着けそうだと判明して、緊張が緩んだみたいだ。
ああ、おなか空いたなあ……
すると目の前の少年が急にきょろきょろしだした。何かを探すように周囲の地面に目を向けている。
「どうかしました?」
「今、蛙の鳴き声がしなかったか? 踏んだら厄介だと思って。君にも聞こえただろう? ずいぶん大きな声だったし……」
この人は一体何を言い出すんだ。よりにもよってわたしのお腹の音を本当に蛙の鳴き声と間違えるだなんて。しかも放っておけばいいものを、踏まないように気遣うとか、どんなお人よしなんだ。
急に恥ずかしさが襲ってきて顔が熱くなる。
できることなら黙っていたかったが、いるはずのない蛙を探し続ける少年を放っておくわけにもいかず、意を決して告げる。
「ええと、たぶん、それはわたしのお腹の音です……」
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