18時32分

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ピンポーン、ピンポーン。 え、嘘。まだ18時31分なのに! 私は急いで玄関に向かった。 普段から駆け込み乗車をしておくべきだった。 滅多に急に動かない私の体は、立ち上がった瞬間によろめいた。 よろめき体制を崩したまま、玄関へと猪突猛進した私の体は、ドアノブに手をかけ、ドアをバンッッ!と開け放っていた。 決まり手は『駆け込み乗車はおやめください』と言ったところか。 彼にドタバタしている姿を見られてしまった。不意に動いたせいだ。恥ずかしい。 「あ、あの、その、すみません!」 恥ずかしさからか、なんだか身体が熱い。 「大丈夫ですか?荷物受け取れます?」 「あ、はい!!」 空元気の見本のような形で返事をしたしまった。 言った本人でも分かるぐらいに、私の声は上擦(うわず)っていた。 「ゆっくりで大丈夫ですから、お受け取りください」 白い煙が黙々と出てくる冷たい箱を、受け取ろうとした時、全身から全筋肉が突如抜け落ちてしまったかの如く、私と冷たい箱は崩れ落ちていった。 もくもくと二酸化炭素を吐き続ける冷たい箱 バケットからこぼれ落ちるアイスクリームたち 仰向けに倒れていく中で、私は彼の手を冷たくしていたであろうアイスたちを見ることしかできなかった。 「あっ」 彼の手が伸びてくる。 無い筋肉を振り絞って、私はその手を掴もうとする。 ………………。
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