二つの体温

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 やがて夏帆が具材の下ごしらえを終えると、今度は僕の番だ。肉と野菜を炒め、水を入れ煮込み、灰汁を取り続ける。具材が程よく煮えたら、火を止めカレールーを入れる。ルーが溶けたら、後は弱火で煮込むだけだった。 「お米が炊けたよー」  炊飯器の前で夏帆が言う。こちらのカレーもほとんど完成だった。皿に米とカレーを盛りつけ、夕飯の準備が整う。 「手際のいい共同作業だね」  こたつ机にカレーが並び、二人で両手を合わせ、カレーを頬張った。 「うわ、今日熊谷で三十九度を記録だって」  ニュースを見ながら、夏帆は驚愕の声を上げた。どおりで暑い訳だ、と夏帆はしきりに頷いていた。 「こんな日に外出たら溶けちゃうね」 「僕は溶けなかったけど」 「雪人は特殊だから」  真顔で夏帆は言う。この猛暑日の中、僕は休みを削って客先に謝りに行っていたのだ。その後夏帆にも謝ったが。カレーを口に運びながら、僕は一日をしみじみと振り返った。 「ご馳走様でした」  カレーを食べ終わり、再び二人して両手を合わせる。 「今日は僕が食器を洗うよ」 「そう?じゃあお言葉に甘えちゃおっかなー」  半分は罪悪感、もう半分は食器洗中にお湯に触れる、という理由もあり、僕は皿洗いを志願した。夏帆はいそいそとフロアチェアに座り、テレビでバラエティ番組を見始めた。  
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