(二)

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 食事を終えると、私は横になっている彼を起こした。大浴場へ行くためだ。  このままここで手にかけようかとも思った。しかし、殺すのは簡単だろうが、ここだと死体の始末が大変だ。しかも事件はすぐに発覚するだろうし、そうしたら真っ先に疑われるのは私だ。だからすぐにその誘惑を振り払った。  この男の体を揺り動かしたが、スキーで疲れたためか、すぐには起きなかった。だから「このまま寝てしまってはせっかくの温泉に入れなくなるよ」と言った。すると、彼は「そうだった」と体を起こし、立ち上がった。 (続く)
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