0人が本棚に入れています
本棚に追加
お母さんはまた笑ってゆっくりと話してくれた。
「ちょっとした理由があって、私も元カウント員だったの。」
少し目線を落として、
ゆっくりと優しい声で話し始めた。
「大昔に、私たちの祖先で詐欺を働いた女性がいたわ。彼女は愛する人を騙してお金を盗んだの。
彼女も彼を愛していたけど、その人を騙してお金を盗むように脅されたのよ。彼女は借金をいっぱい抱えていたからね。
やむを得ず詐欺を働いて…置手紙を残して彼の元を去ったわ。
彼女の家は借金で苦しんでいたけれど、家族たちは彼女の犯した罪を到底許せなかった。
その後、彼女は家族から縁を切られて苦しみながら
人を愛することも愛されることもなく一人で一生を終えたわ。
彼女の家族は彼女が犯した罪で多くの人から感謝の言葉を奪ったことを悔やんだわ。
そして、ずっと償っていかなくてはならないと誓ったの。」
俺は静かにその話を聞いていた。とても悲しそうに話していたから。
お母さんは顔をあげて俺を見る。
最初のコメントを投稿しよう!