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俺は彼女を目で追ううちに、彼女の純粋で素直なところにどんどん惹かれていってしまった。
彼女は待合室が混んできたら絶対に席に座らないし、何かにつけて「ありがとう」をしっかりと(口パクでだけど)言う。彼女が駅でお年寄りにお手伝いしているところを見たのは1度や2度ではない。
彼女の優しさや礼儀正しさに
俺は引き寄せられるように好きになった。
気づいたときには俺の片思いはもう始まっていた。
そしてある夏の日に彼女のパスケースを再び拾ったのである。
ピンク色でガーベラの模様が描かれていた革のやつ。
ピンク色のガーベラの花言葉は「感謝」である。
ガーベラの花は彼女にとても相応しいような…
イメージとよく合っていた。
俺はそれを見て、自分の右腕に浮かぶガーベラのマークもなんだか好きになった。
彼女が2回も落とした、ピンクのガーベラ模様の落とし物は俺たちをつないでくれた。
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