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なにこれ?誰か断捨離して!
「なにこれ?誰か断捨離して!この現実!!」
蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛。見渡す限りの蜘蛛一色。彼らの背中で地平線が見えない。
そいつらは毛むくじゃらの巨体を震わせて、木々を、岩々を怒涛のように呑み込んでいく。
それぞれの個体は一般的な住宅一戸ぶんほどもあろうか。どこからともなくモクモクと湧いてくる。やがて、たった一人の生存者めがけて襲い掛かった。
「ぎゃ~~っ!」
奈史子は来るはずのない助けを求め、念願かなって浄土でゲットした。
上も下も果てしなく蒸気のたちこめた世界。奈史子は紙のようにフワフワとただよっている。
「はっ、ここは? もしもしー。あなたが救世主ですか?」
彼女は通りすがりの老人に呼びかけた。すると老人は微笑んだ。
「見ての通りじゃ。世界は救われた」
「救われたって、ちょっ、ここ天国じゃん?!」
奈史子は翼を背負った人々の群れに気づいた。そこに見覚えのある顔がいくつもあった。
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