死神メイの告白

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 賢明な読者の皆さんはもうお気づきだろう(いや誰でもわかりますよね)、この赤髪の少女こそ、死神のメイが化けた姿であった。  そしてこの成功に味を占めた彼女は、その日から2日後のバレンタインデー当日まで、東京のいたるところでこの手口を繰り返したのである。  そして2月15日、週が明け、メイの営業成績に皆がとびあがって驚いた。  2月の目標件数15件に対して、彼女の成績はその週末だけで、すでに50件を超えていた。  「鬼」の異名をとる死神部長も、もう満面の笑みである。 「いやーメイちゃんやればできる子だと思ってたよ、俺は」 「えへへ、そうなんですよ」メイもにやけ顔が止まらない。 「もう来月には、死神チーフに昇格しちゃうかもね!?」部長は柄にもなくおだてにかかる。 「え、そしたらお給料も……」 「一気に倍増だよ!」  そんな盛り上がる部長とメイを見て、面白くないのはお局の死神・殺姫(サツキ)である。  あんな小娘に、営業成績を抜かれてたまるもんかい。    サツキは、その日も東京に魂を刈りにでかけたメイのやり方を、隠れながらじっと見ていた。  バレンタインデー当日が少し過ぎても、まだまだチョコは男子たちには歓迎されているようだ。  ふん、あんな小娘が喜ばれるんなら……あたしなら、何倍もの数の男をあっという間にイチコロにできちゃうよ。  あんなガキみたいな告白なんて、必要ない。あたしの魅力がありゃね。  事実、サツキはスタイル抜群のセクシーなお姉さんだった。ちょうど、全盛期のニコール・キッドマンを彷彿とさせる感じだ。  メイのやり方を真似ることにしたサツキは、さっそく一人の男の前に現れる。 「ねえ……あたしの作ったチョコ、食べてくれない?」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加