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「うーん、なんでだろ。心当たりはない?例えば俺に嘘をついたとか?」
ドキッとする。全部お見通しということなんだろうか。
「嘘をつかれたら悲しくなるよ?
」満は拗ねて、また子犬みたいに甘えた声を出した。そして単純な俺は『かわいいかも』とまた騙されてしまう。
「お前はやっぱり意地悪だ。いじめっ子だよ」
「なんで俺が意地悪するか、本当は昔から知ってたくせに」
俺が黙ると、満はまたリュックから箱を取り出した。
「これは本当に用意しといたチョコだよ」
グレーのトラ猫が描かれた、オレンジ色の小さな箱をそっと手渡してきた。
「俺はお前に優しいよ。どうしてなのか、その理由も知ってるだろう?」
俺は恥ずかしくて俯いたまま、小さくうなずいた。
終
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