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満は俺に優しくなった。でもやっぱり、たまにちょっとだけ意地悪になる。
そしてあんなことがあったのに満は薬剤師になった。物騒な話だ
。因みに俺は一般企業の会社員。
「今年はチョコレート貰った?」
「いや。今年も貰ってない」
なんでも無いふりして答えたけど、本当は貰った。
今は義理チョコなんて時代じゃないから、去年までは貰わなかった。
でも今年度はうちの部署が大忙しだったせいで、みんなのチームワークが深まり、和やかな職場になった。
バレンタインも有志が何人かでお金を出してお洒落なチョコレートをプレゼントしてくれたのだ。
黒い箱に入って、金色のリボンがかかった大人の義理チョコはとてもかっこいい。でもなんとなく満には秘密にしておこう。
また怖い目にあったらイヤだし。
「せっかくのバレンタインだし、外食でもすれば良かったね」
俺が余計なことを言ったら、満が目を丸くした。
「なんだよ珍しい」
「そう?」
「実は、園にチョコを用意してある」
満はそういうと、かっこいいブラックのリュックから薄いブルーの細長い箱を取り出した。白いリボンがかかっている。
「食べてよ」
「え、イヤだよ。怖いよ」
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