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「手作りじゃないから、毒の入れようがないだろ?俺も一緒に食うから」
満はそう言って、白いリボンを解いた。箱には四角いチョコレートが横並びに4粒入っていた。
濃いブラウンのチョコの上には、紫色のかけらがデコレーションされている。梅入りのゆかりふりかけみたい。これもまたベリーかな?
満が凝視しているので仕方なく1粒取って口に放り込んだ。
「美味しい?」
悪魔の声が聞こえた。チョコレートの優しい甘さは一瞬で消え去り、ピリピリと舌が痺れる。
「変な味がする」
刺激で吐きそうになった。
また毒入りチョコレートを食わされたのだ。しかも2回とも同じ人物に。
今度こそ命の危険を感じる。
激しくむせていると、満はあの時みたく背中をさすった。
「大丈夫だよ、園」
「大丈夫じゃない」
「ただの胡椒だ」
「胡椒?」
満は、咳込んでる俺に、箱の裏側の説明書きを見せてくれた。
『こちらのチョコレートは強い香辛料が含まれています。苦手な方はご注意下さい』
「胡椒とベリーのチョコレートだってさ」
「なんでこんなもんを食わすんだ」
俺が怒り出すと、満は首を傾げて少しおどけて見せた。
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