不自然な巨岩

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 そして頭を泉に突っ込む事で火照った顔も大分クールダウンができ俺は、改めて周囲を確認する。 「敵……いなそうだな」 (おうよ、俺っちにも全く反応がないっぺ)  どうやらここは安全地帯のようだ。  それを知った途端、俺の体から力が抜けていき、その場で大の字になる。 「……もう、ここがゴールでよくね?」 (……だな。)  俺がそんな弱気な発言をするも、トンズラは短く同意の言葉を口にした。  普段ならうるさいくらいに煽ってきたりするくせに、逆にそんな風に同意されると困惑する。  実際トンズラが道中にくだらない事を口にしたり煩かったのは、俺を鼓舞するためだった。  そしてこの状況が如何に辛いものなのかも、同じように魔王を倒すために旅をし続けてきたトンズラは理解している。  だからこそ、今の俺に必要な言葉も理解していた。  
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