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そんな母の肩にサクセスは手を置くと、優しく言った。
「大丈夫。俺は大丈夫だから。母さんは心配しないで。それよりも、シチュー楽しみだよ。ありがとうお母さん……。本当に今までありがとう。」
「サクセス……サクセスゥゥ!!」
息子の優しい言葉に更に強く泣き出した母親は、その両手でサクセスを抱きしめる。
なぜ母親が泣いているのか?
それは明日、サクセスがこの家から追放されるからである。
サクセスの両親は農家の人間であり、正直いってかなり貧乏だ。
お肉なんて年に何回か口にできればいい方。
故に三男であるサクセスは、一六歳という成人を迎える時に家から出ていくように言われていたのである。
サクセスが時間がないと考えていた理由こそ、それだ。
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