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僕には5歳違いの姉がいる。
身内が言うと変かもしれないが、姉は何でもできる完璧人間だ。
勉強、スポーツ、イラスト、演奏、書道など、姉が極めたものを数え挙げればキリがない。
美人で性格も良く、学生時代は数多のクラスメイトに囲まれているタイプだった。
生徒や先生からの信頼も厚く、学生時代は学級委員長や生徒会長を務めていた。
両親からも期待され自慢の娘として育てられている。
弟の僕とは何もかもが違う。
僕が両親から受け継ぐはずだった才能すべてを姉に持っていかれた気がする。
でも僕は姉に対する嫉妬よりも尊敬の念のほうが強かった。
自分の家族に有名な芸能人がいる感覚と近いと思う。
本当は姉の凄さを自慢して周りたかったけれど、輝かしい人生を歩む姉の汚点になりたくなかった。
不出来な僕は存在感を薄くして学生生活を送った。
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