愛があれば

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その事件以来、僕は「姉にもう一度殴られたい」という思いでいっぱいだった。 あの時感じた喜びの理由は「姉」に殴られたからなのか「尊敬する人」に殴られたからなのか、それとも他の理由なのか知る必要がある。 でも故意に姉を怒らせるのは難しい。 普段はプリンを食べられたことくらいで怒らない。 ストレスの原因だったであろう大学受験も無事に終わっている。 第一志望の大学への合格が分かっていた。 だから勝手に姉のお菓子を食べても殴られることはなかった。 きっと両親が「何があっても弟を殴ったらだめだよ」という余計な注意をしていたのだと思う。 結果的に「…最低」という一言とゴミを見るかのような目で軽蔑されただけだった。
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