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嘉人(ヨシヒト)
学校から帰ると隣の家の門の前では、幼なじみの嘉人(ヨシヒト)がどこの高校かは分からないが制服姿の女子と話をしている。
嘉人はちらっとだけ夏月(カヅキ)を見ると、また女の子と談笑を始めた。
夏月は嘉人に恋心を抱いているが、それに気付いているのか嘉人はワザと女子と仲の良いところを見つけて、俺はお前なんかなんとも思ってない、ただの隣の家の息子であって、周りにも幼なじみと言われたく無いし、むしろ男が好きなキモいやつと思っているのではないかと感じていた。
部屋は窓が向かい合わせなことが悩みの種である。
中学3年のクリスマスが近づいていたある日、嘉人が部屋で彼女とキスをしているのを見てしまい、それ以降は嘉人の部屋と向かい合わせの窓はカーテンで閉ざしてしまった。
あの日まではベランダが向かい合わせになっていてお互いの部屋に渡れるほど部屋も二人の距離も近かった。
あの頃、嘉人が女子に告白されて付き合おうかと思うけどどうしたらいい?と、聞かれ自分の気持ちは一方通行で嘉人にとって自分は只の隣人だったことに気づき精一杯の強がりで「付き合えばいい」と答えた。
そのあとから嘉人の態度が変わり僕を避けるようになっていったが彼女を優先するのだから仕方ないと思った。
そして、僕の初恋はあの日終わりを告げた。
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