未来を楽しみにできるということ

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未来を楽しみにできるということ

 天崎さんと掃除をしてから数週間後、私の部屋は見違えるほどきれいになっていた。掃除の翌日からせっせと洗濯を繰り返し、雑巾がけをし続けた成果だ。床には物が置かれていないし、ベッドの布団はふかふかで、絨毯もサラサラである。 「はー、おいしい」  同じため息でも、汚い部屋を見てうんざりしたため息と、おいしいお茶を飲んでにこにこしながらつくため息は全然違う。幸せはすぐ近くにあったのだ。  パラパラと雑誌をめくって、これからしたいことを考える。今までは家にいるのが嫌で旅行や買い物、映画鑑賞にと勤しんでいた。でももう無理に外出する必要はない。家でゆっくり過ごしながら、次にやりたいことを考えられるのはなんて幸せなんだろう。家の中でできる趣味を考えてみてもいいかもしれない。それこそそういう趣味は天崎さんが詳しいだろうか。  今度天崎さんにお礼もしよう。ちょっとオシャレな女子会向けの居酒屋とかがいいかな。天崎さんは騒がしい場が苦手そうだから落ち着いた個室のあるところがいいかな。  そういうことをゆっくり考えながら過ごす時間が私にとって必要なものだったのだとようやく気付くことができた。  さて、次はなにをしようか。
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