14人が本棚に入れています
本棚に追加
2.これから貪るよ庶民メシ
「お嬢様! 庶民メシですか! いけません庶民メシなど! 亡くなられた旦那様と奥様が悲しまれますぞ! 」
「それでも食べますわ!! 自由の為に!! 」
明日香はロングスカートを手で捲し上げ、逃げるようにして屋敷を出た。
「ふう、ここまで来れば大丈夫ですわね」
「そんなことはありませんぞお嬢様」
「ひぎゃっ!! 」
後ろから声をかけたのは、昔明日香の子守りをしていた執事......というよりじいやだった。
「屋敷の執事達はお嬢様のことを分かってないようですな。私はわかりますぞ。お嬢様は子供の頃から庶民に興味を持っていらした。私がその欲を解消させていただきます」
「ほ、本当にいいのじいや! 」
「はい」
じいやは長年整え続けてきた白い髭を揺らし、微笑んだ。
「それでは私が庶民メシを調べて参ります」
「頼んだわよじいや! 」
明日香はこれから起こる出来事に心を踊らせ、じいやの報告を待った。
最初のコメントを投稿しよう!