冷たい彼との物語

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 すると、先生は低い声で、 「だから自殺なんてしたのか?」 と言った。  私は小さく息を吐く。そして、知ってたんですね、と答える。  事故ということになっていた。そう『なっていた』だけだ。 「先生も私のこと、どうしようもない奴って思ってますよね。だから、他の人よりやけに冷たくて……」  私の口はやけに速く動いた。一ノ瀬先生に、他の患者より冷たくされているのが分かっていたから。だから苦手だった。  昔からどうしようもなくて、だめな人間で。 ―――だから、先生も私に呆れてたんでしょう?
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