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「諦めるなよ。次も待ってるから。生活が苦しいなら、人を……俺を頼ればいい」
先生は、いや、蒼兄ちゃんは、昔のままの優しい声でそう言った。
(私、その言葉を誰かに言ってほしかったのかな……)
そんなことをぼんやりと思っていると、手に温かい感触がして、思わず声をあげそうになった。次の瞬間、手をぎゅう、と強く握られていることに気づいて息が止まる。握られた蒼兄ちゃんの手がやけに熱くて、また泣きそうになる。
ずっと態度は冷たかったくせに手はあったかいんだ。
部屋が薄暗くて良かった。明るかったら泣きそうなのがバレるところだ。
そして少ししたら、私はその手の暖かさに安心して眠ってしまったのだった。
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