曽我蔵人の求愛

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   いつも見上げるほどデカい雄大が傍らに立つ。  いつもポンポンしてくる大きな手が、広い胸に頭を引き寄せる。  雄大の心臓の音は少し早い。 「ズルい」 「何がだよ……」 「普段キャンキャン煩いくせに、そんなチワワみたいな頼んない目するとかマジでズルい」 「…………」 「俺、お前の足引っ張んのだけは嫌なんよ……」  ふわっと抱き締められて呆然とする。俺の足を引っ張るってなんだ。雄大が俺の足を引っ張った事なんてない。 「お前の強気な性格なら、高橋さんとこの方が寧ろ有利って思っとった。バックカントリーでも何でも、お前なら上手くやれんじゃないかって。でもお前、俺に会えんくなるのが嫌ってまた移籍するし。そうかと思ったら行方くらますし」 「それは……」 「やっと……やっと帰って来てくれて、やっとまた前みたいに友達っぽくなれたのに、今度はお前が可愛くて堪らんし」 「え」 「俺の理性が持たんっ……!」  ─────俺が可愛いって。  ─────理性が持たんって。  今も雄大は堪えている。力任せに抱き締めるんじゃなく、柔らかく包み込んでくれている。まるで壊れ物かのように大事に大事に。  だけどそのぶん服がシワシワになるくらい指に力が入って……震えている。  雄大の心臓がうるさい。  俺の心臓もうるさい。  ぎゅっと目を瞑って開けて。  そろそろと顔を上げると視界に入った雄大の耳は真っ赤で。  思わずちゅっとキスしたら雄大はエビみたいに後ろに跳ねた。  やはりアスリートのバネは違う。
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