130人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも見上げるほどデカい雄大が傍らに立つ。
いつもポンポンしてくる大きな手が、広い胸に頭を引き寄せる。
雄大の心臓の音は少し早い。
「ズルい」
「何がだよ……」
「普段キャンキャン煩いくせに、そんなチワワみたいな頼んない目するとかマジでズルい」
「…………」
「俺、お前の足引っ張んのだけは嫌なんよ……」
ふわっと抱き締められて呆然とする。俺の足を引っ張るってなんだ。雄大が俺の足を引っ張った事なんてない。
「お前の強気な性格なら、高橋さんとこの方が寧ろ有利って思っとった。バックカントリーでも何でも、お前なら上手くやれんじゃないかって。でもお前、俺に会えんくなるのが嫌ってまた移籍するし。そうかと思ったら行方くらますし」
「それは……」
「やっと……やっと帰って来てくれて、やっとまた前みたいに友達っぽくなれたのに、今度はお前が可愛くて堪らんし」
「え」
「俺の理性が持たんっ……!」
─────俺が可愛いって。
─────理性が持たんって。
今も雄大は堪えている。力任せに抱き締めるんじゃなく、柔らかく包み込んでくれている。まるで壊れ物かのように大事に大事に。
だけどそのぶん服がシワシワになるくらい指に力が入って……震えている。
雄大の心臓がうるさい。
俺の心臓もうるさい。
ぎゅっと目を瞑って開けて。
そろそろと顔を上げると視界に入った雄大の耳は真っ赤で。
思わずちゅっとキスしたら雄大はエビみたいに後ろに跳ねた。
やはりアスリートのバネは違う。
最初のコメントを投稿しよう!