曽我蔵人の求愛

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   距離を取りつつ、チラチラ目を上げる雄大が可愛い。  デッカい体がカチコチになってるのが解る。  叱られたラブラドールレトリーバーみたいだ。 「雄大、好き、大好き……」 「っっ!」 「抱っこして」  両腕を広げると、雄大は弾かれたみたいにまた俺を抱き寄せてくれた。腰から抱き上げてくれた。だから俺は雄大のモフモフ頭を両手でモフモフした。 「どこにも行くなよ……ここにいてよ……」 「〜〜〜〜〜っっ」  体がデカいって凄い。雄大は俺を片腕に抱いたまま卓上の『オリーブオイル』を引っ掴むと、自分のベッドルームを足で蹴り開けた。 「ちょ、おまっ、待てっ!雄大っ!その手に持ってるオイルはなんだあああ」 「お前が煽るから悪いっちゃ!ずっと我慢しとってやったのに!」 「我慢してくれなんて頼んでないけど待ってええええ!」  ベッド上で揉みくちゃになりながらあれよあれよとパーカーもTシャツも剥ぎ取られ、唇に首筋に胸にキスが降り注ぐ。勢いに呑まれ、これはヤバいが逃げられないと諦め掛けたところでサイドテーブル上のスマホがけたたましく鳴った。 「…………」 「…………」 「…………誰じゃ!」 「ろ……“Roger”って出てる……ロジャーじゃね?」  ロジャー大好きな雄大だが、チッと舌打ちしたのを俺は見逃さなかったぞ。どんだけ余裕ないんだ。  雄大はシャツを脱ぎ捨てつつ、スピーカーで通話を始めた。俺は思わず口を両手で覆った。 「Hello!?」 『ユーダイ!!どうしよう!大変な事が起きてる!No〜〜!!』 「「え」」 『シュウがストックホルムで引退を発表したんだ!!』 「「え、え、え」」 『クロード連れてすぐ本部に来て!!僕もう今夜は泣いちゃう!!』  プツンと切れた通話……………  スマホの向こうでロジャーの声がエコーのように残ってる気がする。 「柊にーちゃんが……」 「柊さんが……」 「「引退…………」」
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