曽我蔵人の求愛

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   俺も雄大もゲイじゃない。雄大は女の子が大好きだ。俺はフツーに好きな方だけど雄大ほどじゃない。  前のプチ同居生活では酒とか飲みながら可愛い女の子の話で夜中まで盛り上がれたとゆーのに俺は。俺だけが。なんでこんな事になったんだ。  雄大のクシャっとした笑顔とか。  時に俺を上回るほど直情型な性格とか。  適当そうに見えて何事も一生懸命だったり真面目だったり。  そのくせやっぱり根は大らかで腹が無くて。  傍に居たら安心した。刺々しい、ささくれ立った気持ちも丸くなる気がした。 『高橋さんとこ、いい刺激になっとるん?』 『刺激的ではある』 『あそこのバックカントリー系はスポーツの枠超えてるっちゃ。クロードがやりたいんならしょーがないけど……取り返しのつかん事になんのだけはイヤだからな。頼むから気をつけてな』  雄大のいつにない真剣な目差しが刺さった。俺みたいな鼻摘まみ者を本気で心配してくれる人間が居るなんて─────  なあ雄大。  俺、嫌われようが薬盛られようがアバラ折れようが、怖いもんなんかねーよって思ってた。  オトンもオカンも離婚して好きに生きてるし日本に帰るとこもないし。  北京が終わったら、貢さんみたいにバックカントリーやりてーって思ってた。  雪の上で死ねたらサイコーって思ってた。  でも今は、死んで雄大に会えなくなんのイヤなんだわ。  ソファに並んで座っていた雄大は、長い腕で俺の肩を引き寄せ、モフモフの頭を俺の頭に載せた。モフモフとアフロが絡まりそうなくらい近くで雄大の体温を感じて……感じてしまった。  どっちかが女の子だったらどうにかなりそうなシチュエーションにクラクラしたけど、こんなデッカい女の子、俺たぶん抱けねーぞって思った。
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