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1-3 「喧騒」
「こら!うるさい!静かになさい!」
図書館で騒いでいる子どもたちに、美園は声を張り上げた。
M中に来て1ヶ月が経つが、ここの生徒たちは騒がしい。今まで見てきた中学校とは、大違いだ。
あぁ、天野は一体、どんな指導をしてきたんだろう。
「ほら、アンタたち本を借りないなら帰りなさい!」
「え?皆で、ウォーリーを探せをやっているんだけど・・・」
男子3年生のグループが、不服そうに美園を見た。
彼らの姿が、自分の中学生時代に重なる。
陽キャで割りと見た目が良い。それかつ頭は空っぽで、可愛い女子としか話さない最低な奴ら。
あぁ、コイツらは、まさにあの日、私を苦しめたあの男子たちと同類だ。
「静かに勉強や読書している生徒に迷惑よ。出ていきなさい」
「チェー」
ワザと大きな音を立てて椅子を引き、男子たちは苛々した様子で図書館を後にした。
中学生時代の自分ならば、男子達に苛められてばかりだったろうが今は違う。
私こそが図書館の女王。此処では、自分こそがルールなのだ。こんな優越感に浸れるのもまた、この仕事を愛している理由だった。
ホッとした気持ちでドア付近に立つ美園だったが、男子たちのこんな会話が聞こえてきた。
「チェッ。なんだよあの先生。ブスだしデブだし、オマケに性格悪いし」
「あーぁ。天野ちゃんが懐かしいなぁ。可愛いし、優しいし面白いし。マジ天使だったわー」
「それに、あのオバサン指輪してないよな?あの年齢で結婚してないとか詰んでんな」
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