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「川越先生!お疲れ様です!本日は宜しくお願い致します!」
職員玄関でキャピキャピした声に迎え入れられ、美園は思わずイライラした。今、自分の目の前にいる天野優樹菜という司書は、自分より14歳も若い。
「・・・あぁ、どうも」
意図した訳ではないが、想像以上に無愛想な声が美園の口から出た。しかし、受け取り側の天野はそれを気にする素振りはなく、笑顔でニッコリこちらを見てくるから、ますますたちが悪い。
元から可愛らしい顔をした天野が微笑むと、余計に眩しく見える。ああ。なんでこういうタイプの女が、司書なんてやっているんだろう。
美園は胸がムカムカした。
「本校の図書館は、こちらですよ!ご案内します!」
相変わらずキャピキャピした調子で喋り、天野は美園を図書館に導いた。
この春から、勤務する学校エリアでも司書の異同があり、美園もその対象となった。
今まで、異同自体は何度もあったが、こんなに若くて美人の後釜になるのは初めてだった。
「では、川越先生お座り下さい。業務の引き継ぎを致します」
「・・・はい」
あぁ。なんで私が、こんな小娘に教わらなければいけないんだろう。苛立ちを感じつつ、美園はジッと天野を見た。
彼女の方は、美園の視線には気付いてないらしく、引き継ぎ資料に目をやりながらベラベラ喋くっている。
アイシャドーやらマスカラで豪華に飾られた瞳。深紅のルージュが鮮やかな唇。胸元で揺れる、ダイヤのネックレス。
ああ。本当に。なんで、こんな女が此処にいるんだろう。
目の前にいる天野を見れば見るほど、美園は怒りのような感情を覚えた。
そう。美園は、天野のようなタイプの女が大嫌いだったのである。
美人でお洒落。オマケにスタイルもよく、堂々としてハキハキ喋る女性。
全部が全部、コミュニケーションが苦手でデブスな美園とは対極的。
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