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「え、あ、ありがとうございます・・・」
美園は、ドキドキしながらグラスをイケメンに差し出した。
男に酒を注いで貰うだなんて、いつぶりだろう?
「川越先生でしたよね?」
「そ、そうです。あの、すみません。お名前は・・・」
トポトポとビールをグラスに注ぎ終わると、男は爽やかに微笑んだ。
「僕は小谷と言います。小谷佑樹。これから宜しくお願いしますね!」
「は、はい。宜しくお願い致します」
美園も頭をペコリと下げた。
小谷は明らかに美園より年下だった。
恐らく28歳位だろうか?オマケにイケメン。性格も良さそう。
そうよ!私が待っていたのは、コレなのよ!美園は舞い上がりつつ、ビールを口に運んだ。
心なしか、美男に注いで貰ったビールは、めちゃくちゃ美味に感じられる。
「こ、小谷先生は、教科は何を?」
「僕は数学科です」
「まぁ!私は数学が苦手でしたから、尊敬しますわ」
口元に手を当てて、美園は艶然と微笑んでみた。小谷より年上だが、可愛らしく魅せたいではないか。
「いえいえ。逆に、僕は本について、色々と川越先生に教えて頂きたいですよ。川越先生、ご趣味が読書との事なので」
「あら!嬉しいですわ!」
これはまるで、少女漫画の世界だ!美園は、甘美な思いに浸りつつ、ビールを呑んだ。
あぁ、こんなに気持ちよく酔えたのは、いつぶりだろう?
「でも、小谷先生って、相当お若いですよね?」
「僕?多分、川越先生と同じくらいですよ」
これまた嬉しい!このイケメンには、自分が10近く若く見えているらしい。
美園は、10歳若返った気分で口を開く。
「まさか!私、この4月に37歳になったんですのよ」
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