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ありがとう、ヒロ君。
幼馴染みのヒロ君。
五歳の頃、近くの公民館で開かれた着ぐるみ劇で出会って意気投合。
数年後に再会を誓い合った。
そして小学生に上がり、約束通り再会。
その日からお互いが誰か分かり、その瞬間から親友となった。
二人でよくアホな事をした。周囲を驚かせる事を遊びとして、度々先生に叱られる事も多かった。
よくやっていたのが喧嘩をするフリをして肩を掴み合い、互いに睨み合って唸り声を上げる。
僕もヒロ君も学年では喧嘩上等の部類。周りは本気と信じ込み教室は騒然とする。
しかしその次にはヨーロッパの酒呑みのように愉快に肩を組んで踊り出す、というドッキリが定番だった。
しかし、小学三年生の頃、大喧嘩をした。とてもつまらない事で。
体育のボール競技でチームを組むがプレーが噛み合わずボロ負け。
負けず嫌いなヒロ君はとても怒った。
いつも優しい「ヒナタちゃん」も呆れる程の喧嘩をして「お昼休みに決闘だ!」と果し合いをする事に。
格闘技好きのクラスメイト「のり」が見守る中、お互いに睨み合った。
そして激突。互いに肩を掴み合った。
ヒロ君の目から涙が溢れていた。
僕はもらい泣きをした。どうにか仲直りがしたかった。
その気持ちが伝わったのか。
いや、お互いの気持ちがわかった気がした。
互いに唸り声を上げた次の瞬間、僕とヒロ君は側に立つ、のりに向かって笑顔で踊り出した。
拍子抜けをする、のり。涙をこぼしながら踊る僕とヒロ君。
「飛んだ茶番を見せられたよ」と吹き出して笑うのり。
仲直りが出来た。
そんなヒロ君は冬休み前に転校が決まった。
「ひっそりと転校したい」そう話すヒロ君の気持ちを他所に、笑顔で見送りたかった僕は皆に伝えてしまった。
また喧嘩になって、次は仲直りが出来なかった。
許してくれたヒロ君は、転校先の住居の電話番号を教えてくれたが僕は電話を掛けなかった。
ひょうご君や、二年生の頃友達になったのにその年に転校してしまった「あきと君」の事が重なったからだ。
ありがとうヒロ君。そして、ごめんね。
今でも君は僕の親友。
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