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神さまのあやまち
その夜、ミルザは卵の中でひざを抱えていました。
セージはセージで、ロスマではないんだ。だってあいつには、自分のやりたいことがあるから。
でも、かれをほうっておく気には、なれませんでした。いつでもかれは、ミルザのことを見ていてくれたのに、ミルザが見ていたのは、今はここにいないロスマのことばかりでした。
だましてることを、あやまらなくっちゃ。
そう考えて、ミルザは眠りにつきました。
次の日の夕方になると、ミルザはセージがやってくるのを待ちました。でも、いつもならとっくに来ている時間なのに、足音すら聞こえてきません。
明日が読み聞かせの会だから、今日は練習をお休みするつもりなのかな。それで、明日が終わったらもう練習もいらないから、来なくなっちゃうのかな。
ミルザは首をふりました。
セージはだまっていなくならない、と言ったじゃないか。
ミルザは卵の殻に貼りついて、身動き一つせずに待ちました。
いつものかけ足ではなく、全速力の足音が近づいてきました。
「ごめん! 遅くなった。学校でリハーサルがあってさ」
「いいんだ、来てくれて、よかった」
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