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セージは息を整えた後、明日する予定のお話を全部通して読みました。とっても上手になったね、とミルザは拍手して言いました。
「今日まで、いっぱい聞いてくれて、本当にありがとうな」
セージが笑っているのを見ながら、ミルザは口を開きました。
「セージ、きみにあやまらないといけないことがあってさ」
ミルザは本当のことをいうのがこわくなりました。だけど、もう相手に伝えたいことが伝えられないのはいやでした。
「ぼくは今まで、きみのことをないがしろにしてしまっていたんだ」
ミルザは、はじめて自分自身のことを、ほかのひとに話しました。セージはじっと聞いていました。
「それで、きみはきみなんだなって思ったんだ。今まで、ロスマの生まれ変わりとしてしか見てなくて、ごめんなさい」
「じゃあ、今からおれと仲良くしてくれればいいんじゃないか」
セージはおだやかな声で言いました。
ミルザがあっけにとられていると、セージは続けました。
「っていうか、本当に神さまだったんだな。おれも、カミル先生も、学校の友達も、うちの犬も、今飛んでいった鳥も、もとをたどればみんな、ミルザがつくったってことだ」
「それは、ロスマをつくろうとしたからで……」
「でも、おれはおれなんだろ。そう言ってくれたじゃないか。じゃあ、おれ以外だって、そうだろ。おれは、きみにも、ロスマってやつにも、感謝してるよ。きみのおかげで、おれはこの世界のみんなにも、きみにも会えたんだから」
夕焼けを背負いながらやっぱり笑っているセージを、ミルザはまぶしい思いでみつめました。
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