神さまのあやまち

2/2
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 セージは息を整えた後、明日する予定のお話を全部通して読みました。とっても上手になったね、とミルザは拍手して言いました。 「今日まで、いっぱい聞いてくれて、本当にありがとうな」 セージが笑っているのを見ながら、ミルザは口を開きました。 「セージ、きみにあやまらないといけないことがあってさ」 ミルザは本当のことをいうのがこわくなりました。だけど、もう相手に伝えたいことが伝えられないのはいやでした。 「ぼくは今まで、きみのことをないがしろにしてしまっていたんだ」  ミルザは、はじめて自分自身のことを、ほかのひとに話しました。セージはじっと聞いていました。 「それで、きみはきみなんだなって思ったんだ。今まで、ロスマの生まれ変わりとしてしか見てなくて、ごめんなさい」 「じゃあ、今からおれと仲良くしてくれればいいんじゃないか」  セージはおだやかな声で言いました。  ミルザがあっけにとられていると、セージは続けました。 「っていうか、本当に神さまだったんだな。おれも、カミル先生も、学校の友達も、うちの犬も、今飛んでいった鳥も、もとをたどればみんな、ミルザがつくったってことだ」 「それは、ロスマをつくろうとしたからで……」 「でも、おれはおれなんだろ。そう言ってくれたじゃないか。じゃあ、おれ以外だって、そうだろ。おれは、きみにも、ロスマってやつにも、感謝してるよ。きみのおかげで、おれはこの世界のみんなにも、きみにも会えたんだから」  夕焼けを背負いながらやっぱり笑っているセージを、ミルザはまぶしい思いでみつめました。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!