13人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
何かをひきずって歩いているようなロスマの足音が聞こえました。どうやら卵のとなりに、自分の寝床をこしらえたようです。
「さてと、なにも立派なことはしてやれないんだが、昔話だけは得意なんだ。それは任せてくれよ。とうさんもかあさんも、覚えているかぎりの話を毎晩おれにしてくれてさ。全部覚えているのさ」
ロスマはそう言って、さっそくお話をしてくれました。
この世界に昔いた、「鳥」という生きもののお話でした。神さまの見たことのない「青空」を、翼をあざやかにひるがえしながら飛んでいく鳥たち。それから、「砂漠」という、砂に埋めつくされた場所を駆けていく大きな鳥たち。たくさんの鳥たちの姿を思い浮かべながら、神さまは昔話を聞いていました。
話を終えるとロスマはふう、と息をついて言いました。
「きみは何に見えるかといえば、とんでもなく大きな鳥の卵に見えるからな。鳥の話をしてみたぞ。こんな感じで、この世界にいた生きものの話をしてやろう。おれがどういう生きものなのかは、きみが生まれてくるまでのお楽しみだ。ちょっとわくわくしないか?」
最初のコメントを投稿しよう!