生き残りの昔話

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   何かをひきずって歩いているようなロスマの足音が聞こえました。どうやら卵のとなりに、自分の寝床をこしらえたようです。 「さてと、なにも立派なことはしてやれないんだが、昔話だけは得意なんだ。それは任せてくれよ。とうさんもかあさんも、覚えているかぎりの話を毎晩おれにしてくれてさ。全部覚えているのさ」  ロスマはそう言って、さっそくお話をしてくれました。  この世界に昔いた、「鳥」という生きもののお話でした。神さまの見たことのない「青空」を、翼をあざやかにひるがえしながら飛んでいく鳥たち。それから、「砂漠」という、砂に埋めつくされた場所を駆けていく大きな鳥たち。たくさんの鳥たちの姿を思い浮かべながら、神さまは昔話を聞いていました。  話を終えるとロスマはふう、と息をついて言いました。 「きみは何に見えるかといえば、とんでもなく大きな鳥の卵に見えるからな。鳥の話をしてみたぞ。こんな感じで、この世界にいた生きものの話をしてやろう。おれがどういう生きものなのかは、きみが生まれてくるまでのお楽しみだ。ちょっとわくわくしないか?」
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