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すると、あれほど固かった卵の殻が割れました。神さまは卵の外に出ました。
ぼくは、生まれたんだ! 早く、ロスマに会いに行かなくちゃ。
それが、神さまが生まれてきて初めて考えたことでした。
きっと近くにいるはずだ、と思い、神さまはあたりを見渡しました。卵のすぐ近くに、何かが落ちていました。神さまが手にとってよく見てみると、それは何だったのかわからない生きものの、ばらばらになった骨でした。
永遠の命をもっている神さまというものは、生まれてくるまでにとても時間のかかるものだったのです。それは、ひとつの生きものの一生とは比べものにならないくらいの時間でした。
神さまにはその骨が誰なのかわかりました。しゃがみこんで骨を抱きしめ、一晩中泣きました。それが、神さまの初めてあげた声でした。
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