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あたらしい世界のはじまり
夜が明けると、神さまは泣くのをやめました。ロスマの昔話に、土を掘って骨を埋める場面が出てきたのを思い出したからでした。
神さまは瓦礫をどかし始めました。地面が見えると、そこに骨を埋めました。その仕事が終わってしまうと、神さまはまたしゃがみこんでしまいました。
先ほど、どかした瓦礫が目の前にありました。神さまはそれにもたれかかりました。すると、瓦礫に身体が沈み込みました。
瓦礫の一部分をちぎりとって、にぎってみると、自由に形を変えられるようでした。それは、ロスマの昔話で、「人間」がつぼや人形をつくるのに使っていた、「粘土」というものに似ていました。
粘土のようになった瓦礫は、神さまの手の上でうねうねと動いています。
どうやら、これで生きものをつくれるようだぞ。
神さまは、粘土のようなものを集めました。ロスマを「つくる」のだから、それなりに量がいると思ったのです。あれほど一緒にいたのに、神さまはロスマの姿を知りませんでした。
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