あたらしい世界のはじまり

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   神さまは、ロスマが卵の表面をなでてくれたことを思い出しながら、粘土をこねました。  とても長い時間をかけて、一匹の生きものができました。それは、なでてもらったら気持ちよさそうな、やわらかい翼を持った生きものでした。ロスマの昔話に出てきた、「鳥」によく似ていました。  ロスマは、鳥だったんだね。そういえば、ぼくの卵は鳥の卵みたいだとロスマは言っていたな。それなら、ぼくたちは似ているみたいでうれしいな。 そう思って、神さまは、生きものに言いました。 「おはよう。やっと、会うことができたね」 「わたし、あなたに会うのは今が初めてよ」 「できたてだから、思い出せないのかな」  神さまは、ロスマがしてくれた昔話をひとつひとつ、話していきました。そうすればこの生きものはロスマの記憶を取り戻して、自分と一緒にいてくれるはずだと思いました。  空を飛んで旅をしていた種族のお話までくると、その生きものは目を輝かせて言いました。 「わたしもそんなふうに、空を飛び回りたいわ」 「そうかい。じゃあ、空をきれいにしようか」  神さまは、昔話を思い出しながら、粘土で雲や太陽をつくって、何もなかった空に浮かべました。夜の空には星や月を並べました。 「すてきよ! ありがとう」 翼の生きものは神さまの頭をなでて、空へ飛んでいってしまいました。  確かにふわふわで心地よくはありましたが、この生きものはロスマではありませんでした。
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