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ニセモノたちの世界
神さまは、今度はロスマの足音を思い出して粘土をこねました。できあがったのは、力強い足を持った生きものでした。昔話に出てきた、「象」に似ていました。
「今度こそ、会うことができたね」
「すまないけど、あんたは誰だい?」
「ぼくは、ええと、きみをつくったやつだよ。ぼくのことはいいから、さっさと思い出しておくれよ」
神さまはまた昔話を始めました。話を聞きながらうとうとしていた生きものは、とっても広い草原の話になると、目をぱちりと開きました。
「そいつは、いいねえ。おいらもそんなところで暮らしたいもんだ」
「そうかい。じゃあ、草原をつくろうか」
神さまは粘土を細くして、草をたくさんつくりました。するとそこが草原になりました。水を飲むのにいい、池もつくりました。
「いいところじゃないか。実にゆっくりできそうだ」
力強い足の生きものは、のんびりと歩いていってしまいました。しばらく足音がひびいていましたが、この生きものもロスマではありませんでした。
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