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充さんの温かい一言に、私は返事をすることしかできなかった。ひとしきり車の中で泣いたあと、車は駅を通り過ぎた。
「充さん……。駅、通り過ぎちゃいましたけど」
「ついでだから家まで送るよ。その方が僕も安心だから。簡単にでいいから道、教えて」
「すみません、ありがとうございます」
まさか家まで送ってくれるとは思っていなかった私は、家まで辿り着くと改めて充さんにお礼を言ってから明日の再会を約束して車を降りた。
当座の荷物を旅行用のキャリーバッグに詰め込み、全ての準備を終えてベッドに横になり目をつぶった私の脳裏には充さんのことが浮かび続け、胸の奥からこみ上げる言いようのない感情に戸惑い、困惑していた。
結局ろくに眠れぬまま朝を迎えた私は持っていく荷物を確認し、簡単な朝食を食べてから、充さんに今から行くことを連絡した。
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