Ⅱ 白衣の女神

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「なあ、何か悩んでるんだったら相談に乗るぜ? まあ、俺じゃ話しづらいっていうんなら、スクールカウンセラーの先生に話すって手もあるし……とにかく、悩みがあんなら一人で抱え込まないで話してみろよ。誰かに話せば楽になるぜ?」  思案して押し黙る僕が悩んでいるようにでも見えたのか? 彼は神妙な顔つきになると、ご親切にもそんな大袈裟なことまで口にし始める。 「い、いや、そういうんじゃないから。ちょっと気になっただけだよ。だから心配しないで。あは…あははは……」  なんか図らずも誤解を与えてしまったようなので、僕は引き攣った苦笑いを浮かべると、そう言ってその場ははぐらかした。  ……だが、この会話を契機として、僕の中ではこの家族に対する疑問というものがどんどんと大きくなっていき、どんなに忘れようとしても、そのことが頭から離れなくなってしまった。  そして、授業中も上の空で窓の外ばかりを眺めて過ごし、先生の話も、友人達との会話も耳に入らないまま悶々と一日を終えての放課後……。 「……一人で考えてても埒があかないしな……ほんとにちょっと相談してみるか……」  友人に勧められた〝スクールカウンセラーに相談してみたらどうか?〟という意見、その提案がなんだか良い解決策のように思えてきたので、僕はカウンセラーの先生がやっている、学校のすぐとなりになる心療内科へ足を向けることにした。
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