フラウリー

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 今は放課後だ。二人は付き合ってるわけではない。健斗と希美は男と女だが親友のように仲がいい。中学、高校と同じ塾にも通っている。いつも希美は健斗の家で勉強を教えてもらっていた。最近は行ってないからこういう冗談を言い出したのか。 「じゃ、会いに行こうかな。健斗の部屋に居るんでしょ」 「ああ、親は昼間は仕事だし、俺の部屋には勝手に入らないからな。食べ物を置いて学校に来てる。食べ物といっても魚の餌でいいんだそうだ」  健斗はそう言って立ち上がる。ここ一週間部活を休んでる言い訳が宇宙人か。希美は可笑しくて溜まらなくなった。  二人は茶道部だ。男の子で茶道をやる子は珍しいかもしれなが男子部員は結構いる。美味しい和菓子が食べられるし顧問は若い美人だ。健斗は顧問が目的じゃなく単純に茶道を追求したかったらしいのだが飽きてしまったのだろう。最近は華道部に行きたいと思っていると言っていた。希美は通学カバンを持った。 「今日行ってもいいかな?宇宙人が見てみたい」 「いいよ。でも誰にも言うなよ。ロケットを修理する宇宙人たちが来るらしいから、怒らせたら逆に向こうの星に連れてかれるぞ」  希美は頷いた。少し言っていることを信じ始めた。目が嘘を言っているようじゃない。健斗と校舎の階段を降りる。下駄箱に行ってローファーを履いた。制服のスカートは短いが今日は春の陽気だ。靴下も学校指定の長いものではなく短い白ソックスだ。
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