フラウリー

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 健斗の家は二階建てで白い壁の建売住宅だ。希美にはお姉ちゃんがいるが健斗は一人っ子。だから昼間は宇宙人が一人だ。玄関をあがって二階に行く。希美は緊張してきた。健斗がドアノブに手を掛ける。希美は息を大きく吸って吐いた。  部屋の中には少し小さい緑色の生物がいた。二人が帰って来たのを驚かない。気配で察していたんだろう。透明な水槽のような丸いものを顔に付けている。そしてシルバーの光る服を着ている。はっきり言うが容姿は気持ち悪い。丸い目に背びれがある。足はトカゲの足みたいに細くて小さいものだった。二足歩行なのだろう。立っている。まだ健斗の言ってることは嘘なんじゃないかと少しだけ思っていたが本当だった。足がガクガク震える。だが怖がって逃げ出すわけにもいかない。希美は両手で太ももを抑えた。二分くらい震えていた。  健斗は机の上に置いてあったタブレットを手に取って微笑んだ。そしてノートパソコンの画面くらいあるタッチパネルを翻訳画面にした。上半分に訳された言葉が出て、下はキーボード入力になっている。 『学校の友達を連れて来た。希美っていう女の子だ。フラウリーのことは誰にも言わないって約束をしている。質問に答えてあげてくれ』  フラウリーは口元を緩めた。怒ってはいないようだ。ひれのついた指でタブレットに文字を打ち込む。 『答えられることは正直に言うよ』  日本語変換された文字を見て希美はホッとした。
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