ドラマーイズインマイルーム

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 ふああああ。  昼寝から目が覚めた。あくびをしながら、じんわりと全身を伸ばす。  ちょっと寒いわね。  いつの間にか、日向だった寝床は陰になっていた。ぶるっと身震いをひとつする。  これ、いつも嫌になっちゃう。せっかく気持ちよく寝てたのに、肌寒さで起きるのは気分が悪い。  何で陰になるのかしら。日向は日向のくせに。  寝てる間に少し喉が乾いちゃった。とことこと歩いて、お気に入りの水場に行く。  体をきゅっと縮めて、思い切り体を伸ばすと同時に地面を蹴ると、ひんやりとした水場に問題なくひらりと飛び乗れる。  キラキラした水滴がぽたぽたと垂れてる。ちょうど、赤みを帯びてきた陽の光を反射して、とても綺麗。  そこに口をつけて、水を飲む。汲み置きの水よりずっと美味しい。あたしは、時間が経ってぬるくなっている水より、冷たい新鮮な水の方が好きなの。っていつも言ってるのに、知哉は時々うっかり水を止めて出かけちゃう。あいつ、話聞いてるのかしら?  話しかければ返事はするんだけど、しょっちゅうとんちんかんなのよね。食事にしなさいよ、って言っても「おーう、今日も可愛いぞー」なんて返ってくる。大丈夫かしら。
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